メタという言葉のニュアンスを調べてみたら、哲学的な話で、意識が次元を超えそうになった件。

みなさんは「メタ」という言葉を使っていますか?

「メタ的」「メタ発言」「メタる」「メタ認知」「メタフィクション」「メタモン」などなど、日常生活において、なんとなくここ5年くらいで日常に浸透してきて、よく耳にするような気がします。

この記事でわかること
  • 現代の「メタ」の意味、ニュアンス
  • 歴史的な「メタ」というワードの由来

本記事では、
「メタ」という言葉の由来から、「メタ」のニュアンスを考えるという内容で記事にしてみました。「メタ」とは何かという哲学や考え方ではないというのと、それを身に着けたり、活用したりという目的の内容の記事ではございません。

メタという言葉の意味

まずは、私たちがよく耳にする「メタ」という言葉の意味するところを見ていきましょう!

「メタ」という言葉は、使うシチュエーションによって若干意味が異なる印象を受ける場合があります。辞書などでよく定義されている説明を少し簡単に解釈すると「あるものを別の視点や次元から見ること」という感じでしょうか。

weblio辞書」で紹介されているもののうち、下記が一番それっぽいと思いましたので引用いたします。

メタとは、ある事象に対する異なる次元からの視点という意味である。

新語時事用語辞典

能書きを見たところであんまりよくわからないので、、
実例で見ていきましょう。

身近によく聞く「メタ」の例

例えば、漫画や映画のキャラクターが、作者や私たち視点でしか知りえないことをその作品内で発言したりすることを「メタ発言」と呼ぶことがあります。これは、そのキャラクターが自分が物語の中にいるということや、私たちのような存在を認識している状態で、キャラクターが物語(フィクション)の次元を超えた視点で何かを発言している、この『次元を超える』行為そのものが「メタ」という概念なのです。

デップーが「第四の壁」を超えるというのも「メタ」の一種です。それで「メタ」という言葉に触れたという方も多いのではないでしょうか?

IT 用語としての「メタ」

IT の分野でもしばしば「メタ」という単語が使われます。たとえば「メタデータ」という単語があります。これは、とあるデータがあったとして、そのデータのコンテンツの部分を構成する要素ではなく、『そのデータがどんな内容で、どんな性質を持っているのかを記録した情報』のことを指します。

写真データを例にすると、
・写真そのものは「コンテンツ」
・撮影日時、撮影場所、使用したカメラ情報といった付加情報が「メタデータ」

さらに、
メタ言語」という言葉もあります。
これは、プログラミング言語を説明するための「言語」のことです。たとえば、人間の言語(日本語や英語)を使ってプログラミング言語を解説する場合、その説明に使われる言語が「メタ言語」となります。

どの「メタ」も本質は同じ

日常の「メタ発言」などと IT の「メタデータ」や「メタ言語」などの単語の意味は、一見異なるように感じるかもしれませんが、本質は同じです。それは「別の視点や次元から対象を捉えること」です。

「メタ発言」では、キャラクターがフィクションの外側(現実)を認識しています。
「メタデータ」では、私たちが写真というデータを一歩引いて、その属性や性質を観察しています。

つまり、視点や対象が異なるだけで、どちらも「別次元から物事を捉えている」ことを示していることがわかるかと思います!

そう考えるとと少しだけ理解しやすくなるような気がしませんか?

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メタの由来

メタというワードの起源は、古代ギリシャ語で使われた接頭辞「meta-」にあります。当時の意味は(日本語では)「あとに」や「超えて」という意味だろうとされています。

その意味が時代を経てなんやかんやあって超越した」や「高次の」といった抽象的な意味を加えられ変化していきました。そして、現代では、『あるものを別の視点や次元から対象を捉えること』というようなニュアンスで多く使われるようになりました。

接頭辞ってなに?と気になる方は、Wikipedia の参考記事をチェックしてみてください。

「メタ」というワードの歴史的背景

なんやかんやの部分ですが、
ものすごく昔に遡ります。

この言葉が哲学的に有名になったきっかけは、
古代ギリシャ、紀元前350年頃に、ハチャメチャに頭のいいとんでもなく偉いおっちゃんがいました。その名を、アリストテレスというらしいのです。

彼はさまざまな哲学の著作を生み出しました。そんな彼の遺稿を後世の編集者が整理する際に「自然学(ピュシカ)」のあとの続編として分類したものに「タ・メタ・タピュシカ」というタイトルがつけられたという説があります。

日本語に直訳すると「自然的なものどもの後のものども」です。もう少しわかりやすく訳すと「『自然学』のあとのやつ!」って感じでしょうか。つまり「続・猿の惑星」と同じですね!

その「続・猿の惑星」ではなく……「タ・メタ・タピュシカ」というタイトルで使用されている「メタ」というワードは、この時点での意味は単純に「あとに」というものでした。

タ・メタ・タピュシカについて

その哲学の内容ですが、
私は哲学は守備範囲外なので、正確な解説は難しいところで、深く知るためには皆さんそれぞれでググっていただきたいのですが、簡単に触れるとすれば『物事の存在理由』や『世界の根本的な成り立ち』について考える学問です。

種が育ち、木になる。
木は加工されて、椅子や机になる。
椅子に座って、机で、私が本を書く。
その本を読んだ人が、なんちゃらかんちゃら
(以降無限に続く。)

こうした因果関係をさらに超えて、「そもそもなぜ種が存在するのか?」「木とは何か?」といった問いに目を向けます。「タ・メタ・タピュシカ」は、こうした感覚や経験を超えた「存在そのもの」の本質を探る学問と言えるでしょう。

世界の根本的な成り立ちの理由(世界の根因)や、物や人間の存在の理由や意味など、感覚を超越したものについて考える。

Wikipedia

ん~、さっぱりわかりませんが、
それでもちょっと、
私たちの知っている「メタ」感というか、超越感を感じますよね!?

まさにその超越的な感じが「メタ」そのものニュアンスなのだと思いますが、
問題なのが、その生い立ち

「メタ」の意味の変化

まぁ、
たぶん、
いろいろあって、

古代ギリシャからずっとあとの時代(5-6世紀以降)にこれまためちゃくちゃ頭のいい人たちが、アリストテレスの哲学についてめっちゃ研究をしているうちに、「タ・メタ・タピュシカ」を「メタピュシカ」と短縮して呼ぶようになりました(チョベリバとかと同じ?)

この「メタピュシカ」に含まれる「あとに」という元の意味が次第に「超えて」と拡大解釈され「自然学を超えたもの」として新たなニュアンスが加えらた説があります。

「あとに」という本来の意味が拡大解釈され、結果的に「超越」の意味が付与されてしまいました。このように少しダブルミーニングのような複雑な意味合いも生まれてしまったのですね。。

そんな感じの歴史を経て、
「メタ」というワードは現代では「あるものを別の視点や次元から見ること」という意味になった。ということに繋がるわけですね。

「メタ」のニュアンスを考える

以上のことを踏まえつつ、
改めて「メタ」のニュアンスってなんだろうと考えたら、結局のところ、現代の“メタピュシカ”という哲学が示す「メタ」のイメージそのものが私たちの知る「メタ」の語源ではないかと思います。
誤解を恐れずに言ってしまえばそれは「神さまの視点」に近いもの。

ただし、
その「神さま(メタ)」の生い立ちは、初めから完全に超越的な存在だったわけではないのかもしれません。いろいろな人々と関わり、そして認められ、さらには元々の素質も相まって、徐々に「神さま」となったのかもしれませんね……。

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形而上学って?

また、「形而上学」という単語を目にしたことがある方もいるかもしれません。「形而上学(けいじじょうがく)」とは「メタピュシカ」の漢訳で、これまたアジアのめちゃくちゃ頭のいいおっちゃんによって常人には理解不能な単語に訳されたという感じです。

話の全体を通しての流れとしては、
「タ・メタ・タピュシカ」→「メタピュシカ」→「形而上学」という変化をたどります!

ちなみに、
「メタファー」は、本記事の「メタ~」とは別物です!


余談ですが、(さらに私の妄想ですが、)
よくよく考えてみると
アリストテレスほどの天才であれば、「メタ(あとに)」という意味と「メタ(超越)」という二重の意味をはじめから洒落のような感覚でダブルミーニングで含めていた可能性もあると思いませんか?それを後世の天才たちが現在のように理解して、訳された結果、現在の「メタ」のニュアンスが生まれたのかもしれない……。いや、生まれたのではなく近づいたのか……。さらに先のアリストテレスが考えていた真の意味があるかもしれませんね……。

まとめ

「メタ」は『あるものを別の視点や次元から対象を捉えること』というニュアンスで使われます。

「メタ発言」や「メタデータ」、「メタ〇〇」といったいろいろなメタがありますが、いずれの“メタ”も「別次元から物事を捉える」という本質は同じ。「神さまの視点」に近いものだと言えます。

また、「メタ」というワードの起源は、古代ギリシャ語で使われた接頭辞で、「あとに」や「超えて」という意味でしたが、歴史とともに「超越した」や「高次の」といった抽象的な意味を加えられ変化し、現代の『あるものを別の視点や次元から対象を捉えること』というようなニュアンスで多く使われるようになったという歴史的な経緯があります。

参考・出典

・新語時事用語辞典. 「メタ」. http://www.breaking-news-words.com/2020/08/blog-post_81.html, 2024年12月2日閲覧。

・コトバンク. 「タ・メタ・タフュシカ」. https://kotobank.jp/word/ためたたふゆしか-1363098, 2024年12月2日閲覧。

・weblio辞書. 「メタ」. https://www.weblio.jp/content/メタ, 2024年12月2日閲覧。

・weblio辞書. 「形而上学」. https://ja.wikipedia.org/wiki/形而上学, 2024年12月8日閲覧。

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