【Photoshop】乗算について調べてみた【描画モード】

フォトショやその他ペイントツールなどで「乗算」を使うと、どのような結果になるか想像できますか??

私は、あまりできませんでした;

なんだか密度のありそうなテクスチャを作ったりするのにいつもテキトウに使ってました。昔は手描きの絵をスキャナで読み込んで線画にするなんて使い方もしてましたが……結局、根本的になぜそうなっているかというところはわかっていませんでした。

というわけで
「乗算」について調べてみることにしました。

この記事でわかること
  • 「乗算」でどのような効果があるのか
  • 「乗算」のカンタンな使い方の具体例4つ紹介!

乗算は
フィルムを通した世界

みたいなもの??

いろいろ調べると難しすぎて頭がパンクするので、結局「乗算」ってなんだいっ!って話、雑に言ってしまえば「乗算」にしたレイヤーはフィルムのようなものになるイメージだと、私の中でまとまりました!

赤と緑、または赤と青の3Dメガネってありますよね?それをイメージしてみてください。メガネを破壊して赤のフィルムと緑のフィルムを取り出しましょう!壊すのがもったいないのであれば赤と緑の下敷きでも大丈夫です!

赤色のフィルムを通して見てみると、世界は赤色になります!

緑色のフィルムを通して見てみると、世界は緑色になります!

では、
それらを重ねると、どうなるか想像できますか?

暗くなってほとんど何も見えません!
つまりは、そういうこと!!
(どゆこと?!)

「乗算」モードでは、フィルムのように色を掛け合わせることで、暗い部分が強調され、結果的に画像が暗くなります。色が重なって、暗くなるイメージです。つまり、「乗算」はフィルムを重ねたような効果をデジタルで再現しているような感じなのですね!

「乗算」は
かけ算なのである

読み方は「ジョウザン」、もしくは「ジョウサン」。

どっちでも間違いではないようです。
ただし、英単語の表記としては、
Photoshop では「multiply」です。

単に「かけ算」の英単語をググると「multiplication」と出てくるかもしれません。これはどちらも日本語では“かけ算”で間違いはないですが若干ニュアンスが異なるようです。「multiplication」は、ザ・かけ算って感じ。「multiply」はもっと幅広くさまざまな場面での「かける」という意味を持ちます。例えば「君と僕の力をかけ合わせて無限の可能性だ!」みたいな……?

、、、Photoshop は電卓ソフトでは無くクリエイティブ用途のツールなので、より柔軟な意味の「multiply」が適当なのでしょう、、、ちなみに、英単語で「times」という表現も日常的にかけ算を表す際に使われることが多いです。興味がある方はぜひ調べてみてください。

とにかく!
「乗算」とはかけ算のこと。
ということなのです!

Photoshop の「乗算」は
描画モードのひとつ!

Photoshop での「乗算」とは主に「描画モード(Blending Mode)」という機能で選択できるモードの内のひとつです。一番身近に思い浮かぶところでは「レイヤーパネル」の上部にあるやつではないでしょうか!

他にも「レイヤースタイル」や「ブラシツール」などでもちょくちょく見かけるモードですが、効果自体は同じです!

よく写真やイラストでいい感じに透かしたりというような使い方をするかと思います。

「乗算」を使う際、『よーし乗算を使うぞぉ』というよりは、なんとなくテキトウにいっじてたら『なんかいい感じになった』というような使い方してませんか??そんなあいまいな使い方から、ある程度どのような結果になるかを想像して「乗算」を使えるようになりたいですね!

次からは「乗算」にすることで、写真や画像がどのようになるのかを見ていきたいと思います。

乗算の仕組み

先に
「描画モード」を使用する際に出てくる用語を紹介します。

下のレイヤーの色を「基本色」、その上に被せる色(「乗算」にしたりする色)を「合成色」、それらが重なったて表示される色を「結果色」と呼びます。

  • 基本色は、画像内の元のカラーです。
  • 合成色は、ペイントツールまたは編集ツールで適用されるカラーです。
  • 結果色は、合成によって生成されるカラーです。
Adobe

「基本色」と「合成色」のRGB値を“かけ算とか”何やら計算するのが「乗算」ってわけです!具体的には下記の計算がされたRGB値が結果色という感じですね!

R:基本色のR値 × 合成色のR値 ÷ 255 = 結果色のR値
G:基本色のG値 × 合成色のG値 ÷ 255 = 結果色のG値
B:基本色のB値 × 合成色のB値 ÷ 255 = 結果色のB値

正直、こんな式を見せられたところで、

さっぱりわからん!

ですし、別に覚える必要はないかと思います。要は、「乗算」は何やら“かけ算”してるんだってことだけを知っておけばいいと思います!悩むだけナンセンス!

「乗算」は
体で覚えろ!

「乗算」を使うときに、上の計算式を活用するのはどう考えても非現実的です。『こう使えばこうなる!』『こうしたい時にはこう使う!』というように、具体例から身に着けちゃうのが手っ取り早いと思います!

と、
その前に、

大前提として「乗算」を重ねた結果色は、色が濃くなったり暗くなります。元の色よりも明るくすることはできません!

ということで、
今回は「乗算」のカンタンな使い方の具体例4つ紹介します。

「乗算」で
線画を読み込む

この「線画を読み込む」という工程で「乗算」というものを知った人も多くいるのではないでしょうか!

用意する素材

・合成色レイヤー(上のレイヤー):紙に描いた線画
・基本色レイヤー(下のレイヤー):色を塗る白or透明なレイヤー

紙に描いた線画を「白い紙に黒い線」の二色で構成されるレイヤーに調整します。(調整方法は割愛します。)

白のRGB値はR255、G255、B255、黒のRGB値は、R0、G0、B0です。それぞれ「基本色 × 合成色 ÷ 255 = 結果色」の式に当てはめていくと、
白は『合成色=結果色』、フルオープンで透明みたいなもん!
黒は『結果色 = 0』、ただの黒!
ということが、
わかりますよね!

あとは上のレイヤーを固定なりして編集できないようにして、下のレイヤーで色を塗っていけばイラストになるって感じです!

白いところに
「乗算」で色を付ける!

考え方の根本は、上と同じです。

例えば、白色の商品があるとします。この商品のカラーバリエーションを作るために、「乗算」を使ってさまざまな色のイメージを生成し、それらを比較して選定する。というような使い方が可能です。

用意する素材

・合成色レイヤー(上のレイヤー):色のレイヤー
・基本色レイヤー(下のレイヤー):白い商品だけ切り抜いたレイヤー
・元の写真のレイヤー

白い商品の部分をあらかじめマスキングしてしておきます。(マスキング方法は割愛します。)その上につけたい色のレイヤーを「乗算」モードにして、クリッピングマスクで商品に色を付けることができますね!

では、
なぜこのような使い方に「乗算」を使うのか。ただの半透明にするだけだとだめなのか。という疑問が浮かびますよね。

その理由は、
「乗算」は明るい色が暗い色に影響を与えないからです。影は影のままであり、明るくなることはありません。もし半透明を使った場合、暗い色に明るい色が重なり、色が混ざり合い、違和感が目立つイメージになってしまいます。

「乗算」は影に強い!

ってことですね!「乗算」はモノの陰影や色のコントラストを維持したまま、色や質感を合成することが得意なのです。

「乗算」で
影を付ける!

今度は先ほどの反対で、写真を合成するときに自然な影をつけることができます!

用意する素材

・合成する物体のレイヤー
・合成色レイヤー(上のレイヤー):影をつくるレイヤー
・基本色レイヤー(下のレイヤー):合成元の背景の写真

影が落ちていそうなところに、シェイプツールで適当な影をつくります。そのレイヤーを「乗算」モードにすることで、自然な色合いの影を表現できます。

これも半透明ではだめなのか?という疑問が浮かぶと思いますが、同じ理由です。「乗算」モードではより暗い部分に影響を与えないため、自然に馴染んだイメージを作ることができるのです。

乗算で
テクスチャをつける

「乗算」でテクスチャをつける場合も、基本はテクスチャにする画像を「乗算」モードにして上のレイヤーにします。

用意する素材

・合成色レイヤー(上のレイヤー):質感を感じる写真や画像(テクスチャとなる画像)
・基本色レイヤー(下のレイヤー):合成する写真や画像(ベースとなる画像)

合成する写真の上にテクスチャとなる画像のレイヤーを用意して「乗算」モードにすればテクスチャをつけることが可能です。

乗算でテクスチャをつけるのに相性の良いものは、「明暗にメリハリのあるもの」で「全体的に暗すぎないもの」です。具体的な例としては、以下のようなテクスチャが適しています。

・紙や布の質感
・コンクリートなどの荒い表面
・木材や石
・ドットやグランジ
・雲やスモーク」
etc

これらの素材は、明るい部分と暗い部分にメリハリがあるため、「乗算」モードで自然な質感を出すのに効果的です。

反対に、
避けるべき相性の悪いものは以下のようなものです。
・全体的に暗すぎるもの:乗算モードではさらに暗くなり、最終的に画像が潰れてしまう可能性があります。
・均一な色のもの:均一なテクスチャは、乗算モードではあまり効果を発揮せず、平坦な仕上がりになります。

まとめ

Photoshop の「乗算」は描画モードの内の一つです。下のレイヤー(基本色)に対して、上のレイヤー(合成色)を「乗算」にすることでフィルムのように重なり表示されます(結果色)。その際、基本色と合成色をかけ算したりなんなりしますが、計算するのは非現実的なので、次のことを頭に入れておくとよいかもしれません。「乗算は、モノの陰影や色のコントラストを維持したまま、色や質感を合成することが得意」。

そして、「乗算」は、色を濃くしたり、暗くすることしかできず、明るくすることはできないということが大前提です。

テクスチャをつけるポイントは、メリハリのあるテクスチャを比較的明るいイメージに合成するということも押さえておきましょう。

出典・参考

コトバンク. 「乗算(読み)ジョウザン」. https://kotobank.jp/word/乗算-531632, 2024年10月9日閲覧。

Adobe. 「描画モード」. https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/using/blending-modes.html, 2024年10月9日閲覧。

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