【デザイン探索】ザラザラしたような、擦れたような、フォントのデザインを作りたくて【グランジ】

フォントをデザインするときに、まず思いつくアイディアのうちの一つにザラザラしたような、擦れたような、よく見かけるあのデザインを思いつきませんか?

このようなデザインを「グランジ」と言います。

私はグランジのデザインをこれまでちゃんと作る機会がなかったので“作り方”がいまいちわかりませんでした。前々から一度作ってみたいなぁと思い、今回は街中にデザイン探索していろいろ自分なりの考えをまとめてみました。

グランジとは

まずグランジという単語の意味と「グランジ」とはどういうメッセージ性なのかを調べてみました。

単語

grunge:不潔なもの、汚いもの(英辞郎 on the WEB

私はグランジデザインのことに漠然とカッコいいイメージを持っていたので、本来は汚いという意味っていうのは何というか不思議な感じです。

では

「グランジ」というスタイルは、故意に不完全だったり乱れたものをデザインに取り入れることで社会への反抗的なメッセージや絶望、シニシズムなんかを表現していると言われています。

また、「グランジ」は、1990年代のロックミュージックのジャンルのひとつでもあるようで、音楽の曲調については私にはわかりませんが、わざとボロボロの格好をしたりしてそのメッセージを表現しているようです。

たしかにグランジ加工のフォントを使ってるデザインを見ると、なんだかハードな世界観が伝わってきますよね!そんな荒廃したイメージというのは音楽やグラフィックの世界を問わず人々を引き付ける魅力があるように感じます。特に最近の世の中にはピッタリのスタイルなのかもしれません笑

いざ「グランジ」を探しに

いざ、街中に「グランジ」を探しに、デザイン探索!

今回のフィールドは、東京都豊島区、池袋駅周辺です。(徒歩)

歩いているとさっそく、

いい感じにインクが剥がれ落ちている路面の標識を発見しました。アスファルトの凸凹とタイルの溝とインクの落ち具合が合わさりボロボロ、天然のグランジです。

まず西口公園をまっすぐ進んで

東京芸術劇場周辺を散策しました。芸術的な何かがあればいいなぁと思いつつ……。

端っこの方に行くと、カラーコーンに書かれた天然のグランジフォントを発見しました。

隙間の空いている漢字のフォントで、インクが擦れて少し怖い雰囲気が出ています。

テクスチャとして使えそうな素材も発見!

芸術劇場のタイルと壁です。

貼ってあったポスターなどには特にグランジは使われていませんでしたので、移動しました。

少し歩いたところににあった街頭柱をいくつかパシャリ。

張り紙の跡や錆がいいで素材になりそうな感じです。

インクが色褪せた感の「グラフィティ」のシールを発見。

「グラフィティ」自体がアンダーグラウンド感あるものなので、それだけでグランジ感を濃く感じられますよね。

引き続き歩いて、

汚れたエンボスプレートを発見。

エンボス加工で文字の形がはっきりしていてる中でのグランジがかかっていて、さらに背景もしっかり汚れているのも味がありますよね。

路面表示の白線を忘れてはいけません!

これはいい素材になりそうです。路面はグランジの宝庫です。

雑居ビルの裏口の扉です。

傷から錆に浸食されてる感じは、まさにグランジって感じですよね。

赤い色が目に入り、写真をパシャリ。

木目にインクと筆の組み合わせが素敵ですね!赤と白はなんだかショッキングな感じだけどすごく惹かれる気がします。。よくよく見ると木の板の元の色も見えてて、3段階になっているのがオシャレです。

裏道の汚れた壁を発見。

グラフィティシールを貼られて、オーナーがはがして、さらに落書きされてと、歴史を感じます……。インクが垂れてる感じがストリートアート感あって魅力的ですね。

どうして人は荒廃しているものに惹かれるのか不思議です。

老舗感のある洋食屋さんの看板を発見。

廃れた感じと料理の組み合わせが、熟練のシェフのイメージを彷彿とさせ、逆にイメージアップに繋がる不思議を感じますよね。

筆文字タイプのグランジを使用しているお店の看板を発見。

筆文字の擦れ感を感じることができて、勢いを感じます。

そのお店の前に、手書きの看板がありました。

ちょっと、グランジとは違うかもしれませんが、こういうのもいいですよね。チョークで文字の線を引く方向に塗っていくことで、面白い表情を出せています。

汚れが裏から染み出している張り紙がありました。

こういったレンガの規則性と、雑に剝がされたシールの絶妙な不規則性が気になります。

ふと、面白いアイディアを見つけたのでパシャリ。

文字のプレートが剥がれたけど、その錆が残っていて文字の形が見えるのはいいアイディアですよね。

そうこうして歩いているうちに、いつの間にか要町まで来てしまいました。気づいたのはあまり「グランジ」を使用したグラフィックデザインというのは思ったほどないということです。天然のグランジはいたるところにありますが……。

引き続き探索を続けます!

これはポストの側面です。雨の後でインクが剥がれて錆びたのでしょうか。

駐車場に書かれた表示です。

ミラーに反射して文字が削れてグランジのように見える看板を発見!こういうのもアリですね!

素材になりそうな、塗り壁と波板を見つけたのでパシャリ。

繁華街から離れるとポスターや看板が少なくなってきたので、この辺で一旦駅前まで戻ることにしました。

ボロボロですね。

またグラフィティシールですが、これは私の中でかなりイメージに近いグランジが気がします。

ダイニングバーのディスプレイに削れたフォントのあるグラスがあったのでパシャリ。

ガラスとグランジの組み合わせも素敵ですね。これは恐らくお店で使用して自然に塗装が剥がれたものです。新品ではなくてあえて使い込まれたグラスを展示するなんて風情を感じます。

有名な靴屋さんの看板です。全体的に汚れてはいますが、立体物の特に側面が汚れているというのはアイディアとしてアリですね!

やはり街中に近づくとグランジを使用したグラフィックデザインをよく見かけるようになります。

まさに70年代80年代、ウェスタンに影響を受けたアメリカンなイメージですねぇ(?)。

鉄板の色が剥げるのはアンティーク感があっていいですよね。

そういえばチョークを横にして色をぬるという方法もあるのを忘れていました。

ペンキを使ったストリート感とアート感が出てますね。

「グランジ」と言えば、ホラーでしょうか。

お手本のような「グランジ」で今回のデザイン探索は終わりにしようと思います。

感想

「グランジ」は私が思ったよりもよく目にするグラフィックデザインでは使用されていませんでした。それだけインパクトの強いスタイルなのかなと思いました。やみくもに使用しても何の意味もないデザインになってしまい、逆にチープなイメージにならないように気を付けなければいけないのかなと思います。

また、あえて経年劣化することを鑑みて、デザインするというのも面白いと感じました。グラフィックに限らず、革製品だったり衣類だったり、劣化することで味が出るものにも需要がありますし、多角的に考えてデザインできるようになりたいですね。

出典

英辞郎 on the WEB. 「grunge」. https://eow.alc.co.jp/search?q=grunge, 2023年6月21日閲覧。

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